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「・・・ん?」

気づくとソファーじゃない場所に居る

自分の部屋ではないのは家具で分かったがココが何処だか寝ぼけている頭ではすぐに浮かばなくて少し慌てた

「美希也?」

横から名前を呼ばれ見ると聡広が居た

パソコンが前にあるのでどうやらそれで何か作業をしていたのだろう。

「ビックリした・・・俺、寝ちゃったんだ・・・」

「本当、話しかけたら反応が無いから俺も驚いたよ。気持ち良さそうに寝てたから起こすのも忍びなかったしね。それより今日はもう遅いし泊まっていくか?」

そう尋ねられて時計を探した

時計の針はもう夜中の12時を指している

「・・・いいの?」

別に今から家に帰っても何も問題はないけど泊まれるのなら泊まってもいいかなと思ったのだ

恋人らしい進展も今までなかったし、お泊りくらいはしてみたい。

「美希也が泊まりたいならね。泊まるなら今からでも電話したほうがいいんじゃないか?」

「やった!電話はしなくても大丈夫。もうこの時間だとみんな寝てるだろうし起こしちゃったら悪いでしょう?」

そういうと「それもそうか」と納得した様子で頷いて

「じゃあ、布団を出すか」

と聡広が立ち上がった

よく考えたら今まで寝ていた場所は聡広のベットなのだと気づく

少し考えてから

「ねぇ、一緒に寝ちゃ駄目?」

ときいてみた

わざわざ布団を出してもらうのも悪いと思ったのと折角のチャンスなんだからとちょっと大胆に聞いてみたのだ

「えっ、い、いや・・・駄目じゃないけど・・・」

珍しく顔を赤くして動揺する聡広に少し笑って

「別に何かしようなんて企んでないよ」

と冗談めかして言った。

無理に関係を持ちたいとも思わない

ただ、一緒に居たいだけ。

「一緒に寝よう」

パタッと元寝ていた場所へと逆戻りする

そんな俺に苦笑しながらパソコンと電気を消してベッドの端に聡広が座る

「美希也が何も企んでなくても、俺が我慢できないかもな」

「いいよ。聡広がしたいなら。キスする?」

もしかしたらもっと先を望んでいるのかもしれないけど、一番最初は『キス』がいい。

付き合い始めたにも関わらず外で人目が多いせいかまだキスもしたことがなかった。

じっと聡広を見つめてみる

付き合って3週間。そろそろキスぐらいはしてもいい頃合いだと思う

聡広にとって"男同士"と言うのが引っかかっているのだろうか?

未だに動かない聡広を見てフイッと視線を逸らし、少し布団の中で端に移動して聡広が寝れるようにスペースを空ける

「ほら、寝よう」

そう促すとようやく布団の中に入ってきた

そして此方を向いて暫く何か言いたげに見られる

「・・・なに?」

「いや・・・、美希也は男同士はやっぱり嫌か?」

突然そんな質問をされた

聡広なりに考えていたのだろう

「んー?別に嫌じゃないよ。嫌だったら絶対に聡広と付き合ってないから」

はっきり言った。

嫌なら拒否している。

「聡広は?後悔してるの?」

「いや、ただ美希也に俺の気持ちを押し付けて無理に付き合ったような感じだったし・・・」

「そんなこと気にしてたんだ。俺は・・・今は聡広のこと好きだよ」

愛をくれるから

一緒に居て、楽しいと思えるから

ちょっと起き上がって聡広の頬にチュッとキスする

「おやすみっ」

ちょっと恥ずかしくなってそのまま布団に潜った



何でだろう

今までこれくらい普通だったのに

何でもなかったのに。



口には絶対キスしないけど時と場合によっては頬になら自分からキスした

それと変わらないはずなのに

心臓が凄くドキドキしていた






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