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「美希也?ねぇ、起きて」

ゆさゆさと揺さぶられて目を開くと楓の顔が目の前にあった

「ん・・・?」

「もう夕飯だよ。だから起きて」

「んー」

まだ寝ぼけている頭をなんとか働かせてようやく起き上がる

「ほら、ちゃんと起きてよ」

「起きたよ。行くから、先に行ってて」

「そう言って寝ないでよ?」

分かったと頷いて少しぼーっとする

こういう風に寝起きが悪いときはすぐに動くとろくなことがないので暫く間をおいてちゃんと頭も起きてから行動することにしているのだ

「そういえば、美希也の部屋今始めて入ったけど凄く片付いているね」

先に行くのかと思っていた楓は隣に座りそう話しかけてきた

「片付いているっていうか、物を置いていないだけだけどさ」

実際必要最低限の物しか置いていないので逆にスッキリしているのだろう

「そっか。そのわりに可愛い物が沢山飾ってあるけど・・・彼女に貰ったとか、あげようと思っておいてある物?」

楓はそう言って近くにおいてあったぬいぐるみを手に取った

「あー・・・それは貰い物。ゲーセンでの戦利品だから、それはダメだけど、他のやつで欲しかったら持って行ってもいいよ」

今楓が持っているのは先日タキに貰った物なので、実際においてあるか確認しに来たときになかったら煩そうなので仕方なく一番目立つところにおいてあるのだ

「ふーん。コレは特別なんだ?」

「別に彼女とかに貰ったとかそういうものじゃないけどね?今は彼女とかいないし」

「そっか。出会いの場も少ないしねー」

学校が男子校だから学校での恋愛は望めない

きっとそういうことだろう。



「さて、そろそろ行くか」

ようやくぼんやりしていた頭も目を覚ましたのかスッキリしている

楓を促しリビングへと向かうとそこには何故か聡広がいた

ビックリして思わずリビングの入り口で立ち止まると後ろから着いてきていた楓が背にぶつかった

「いったー。突然止まらないでよー」

顔がぶつかったようで顔をさすりながらそう文句を言われる

「ごめん、高林先生が居たからビックリして」

「あ、そっか。ついでに先生も一緒に夕食を食べることになったんだよ」

さも普通のことのように言う楓に様々な疑問が浮かんだ

「美希也もようやく下りて来たのね。ほら、早く席に着いて頂きましょう」

母の頼子にそう促されて席に座る

今日の夕食は焼き茄子と冷奴と素麺という夏らしいおかずが並んでいる

父を除き全員が座ったところで頂きますと手を合わせて食べ始めた

まだ状況がよく理解できていないが、どう聞いたらいいのかわからず質問するのは諦めて先に夕食を食べることにした






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